人間とは何か、自由とは何か
第二次世界大戦時下のユーゴスラビア。部隊に入った少年の葛藤
第二次世界大戦時のユーゴスラビアを舞台にした作品。侵攻するナチス・ドイツと戦うパルチザン部隊に入るも、人の命を奪うこと、戦争という現実を受け入れてしまうことに葛藤する少年。ドイツとの混血で二重スパイとして生きる道を選ぶ兄。強制収容所で人間を人間として扱わない過酷な環境で労働を強いられる少女。一人ひとりが戦争という強大な運命に翻弄されながらも、必死でもがき苦しみながら生きる姿が交差していく。彼は最後にこう語る。「現実を現実として認めてしまったら、それまでなんだわ」同じ世界大戦でも、ヨーロッパを舞台にしたもの、ましてや旧ユーゴの戦時下の歴史なんて日本人にはなじみが薄い。そんな舞台設定のなかに、戦争とは何か、平和とは何か、人間とは何か、自由とは何か、本質的で普遍的な問いをこれでもかというくらい投げかけてくる。戦争マンガ、歴史マンガであると同時に、一級の哲学的文学作品だ。
推薦コメント
第二次世界大戦時のユーゴスラビアを舞台にした作品。侵攻するナチス・ドイツと戦うパルチザン部隊に入るも、人の命を奪うこと、戦争という現実を受け入れてしまうことに葛藤する少年。ドイツとの混血で二重スパイとして生きる道を選ぶ兄。強制収容所で人間を人間として扱わない過酷な環境で労働を強いられる少女。一人ひとりが戦争という強大な運命に翻弄されながらも、必死でもがき苦しみながら生きる姿が交差していく。彼は最後にこう語る。「現実を現実として認めてしまったら、それまでなんだわ」同じ世界大戦でも、ヨーロッパを舞台にしたもの、ましてや旧ユーゴの戦時下の歴史なんて日本人にはなじみが薄い。そんな舞台設定のなかに、戦争とは何か、平和とは何か、人間とは何か、自由とは何か、本質的で普遍的な問いをこれでもかというくらい投げかけてくる。戦争マンガ、歴史マンガであると同時に、一級の哲学的文学作品だ。
本山 勝寛( 作家 / 日本財団 子どもの貧困対策チーム チームリーダー)