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国境を駆ける医師イコマ

©髙野洋/集英社

国境を駆ける医師イコマ こっきょうをかけるいしいこま

小学生からOK
著者
髙野洋
出版社
集英社
発刊状況
完結

戦争の“生傷”に向き合う

世界の紛争地を飛び回る日本人医師の葛藤と戦いの物語

推薦コメント

国際医療援助活動に従事する日本人医師を主人公に、世界の様々な紛争現場を描いた作品。味方と敵に分かれて命を奪い合う現場での彼の存在は、医師を志すものだけでなく、職業的プロフェッショナルを志す若者に様々な気付きをもたらす。特に印象的なのが、コミックス1巻分を費やして語られるボスニア・ヘルツェゴビナの対人地雷にまつわるエピソードだ。地雷を踏んだ仲間を助けに入った者をも巻き込んだ半永久的な二次被害を想定する、陰湿な悪意と卑劣さの象徴のような兵器としての性質、かつて兵士として地雷を埋めていた者が地雷除去を生業とすることのジレンマ、地雷で負傷した少年が自らの養父が地雷(の除去)によって収入を得ていることに気づき、不信感を抱いてしまう過程…と、様々な角度から「地雷」について掘り下げている。これだけでもマンガとして他に類を見ないが、その問題に対して、兵士でも現地住人でもない1人の職業人がどう立ち向かうかという視点が特徴的。戦争は遠い過去の、遠い世界の出来事ではなく、現実に起きていることなのだという、生々しい実感を得させてくれる。

山内 康裕(一般社団法人マンガナイト/レインボーバード合同会社 代表)

  • デジタル版大好評発売中
  • 発刊状況は2020年10月1日時点のものとなります。

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