戦争の「ホントのところ」?
ベトナム戦争の史実とファンタジーがミックスされた独創的世界
この作品ではベトナム戦争の史実とファンタジーがミックスされた独創的な世界が描かれる。コミックスの表紙を見て「かわいいお話」を想像して読み進めると、ふいにガツンとショックを受けるかもしれないのでその心づもりで手にとってほしい。日系アメリカ人の従軍カメラマン、ヒカルは「何気なく」人が殺されていく戦場のド真ん中で、アメリカ軍にゲリラ攻撃を仕掛ける “最強” 少女に一目ぼれをする。そんな状況でも恋はあり得るのか。あるいはその恋は戦争を知らない誰かの願望か。戦争の体験者ではない読者には「ホントのところ」は分からない。そしてそれは戦後生まれの著者にとっても同じことだ。物語のテイストがどんどん変わっていくのは、著者が作品を描き進めるごとに戦争という「沼」への理解を深めていったからではないか。非体験者が戦争を知ることの限界とそれでも知ろうとする意味、そういったプロセスをも具現化している、表現の価値をも問う意欲作だ。
推薦コメント
この作品ではベトナム戦争の史実とファンタジーがミックスされた独創的な世界が描かれる。コミックスの表紙を見て「かわいいお話」を想像して読み進めると、ふいにガツンとショックを受けるかもしれないのでその心づもりで手にとってほしい。日系アメリカ人の従軍カメラマン、ヒカルは「何気なく」人が殺されていく戦場のド真ん中で、アメリカ軍にゲリラ攻撃を仕掛ける “最強” 少女に一目ぼれをする。そんな状況でも恋はあり得るのか。あるいはその恋は戦争を知らない誰かの願望か。戦争の体験者ではない読者には「ホントのところ」は分からない。そしてそれは戦後生まれの著者にとっても同じことだ。物語のテイストがどんどん変わっていくのは、著者が作品を描き進めるごとに戦争という「沼」への理解を深めていったからではないか。非体験者が戦争を知ることの限界とそれでも知ろうとする意味、そういったプロセスをも具現化している、表現の価値をも問う意欲作だ。
山内 康裕(一般社団法人マンガナイト/レインボーバード合同会社 代表)