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2021.03.27

「これも学習マンガだ!」を題材に、領域横断研究グループ「人と情報のエコシステム(HITE)」のメンバーと「新しい生活様式(=ニューノーマル)に活きる学び」を語る無料配信トークイベントを2020年12月に開催しました。

▼当日のイベントの様子(YouTube動画)

HITE-Mediaプロジェクト研究代表者の庄司昌彦さん。情報が進んでいったら社会はどうなるのか、さまざまな社会の変化に対してわれわれはどう対応していくのかなど、情報社会学の研究をされています。今回は庄司さんにとっての「学習マンガ」5作品を紹介していただきました。

庄司昌彦/国際大学グローバル・コミュニケーション・センター 主幹研究員/武蔵大学社会学部 教授。HITE-Mediaプロジェクト(人文社会科学の知を活用した、技術と社会の対話プラットフォームとメディアの構築)研究代表者。 https://researchmap.jp/mshouji/

庄司昌彦さんの人類と社会を悩む5冊

●『もやしもん』(石川雅之/講談社)

感染症で急に身近になった菌やウイルスの世界。菌やウィルスを肉眼で見ることができ、さらに会話までできるという特異な体質を持つ主人公を中心に菌や微生物の世界を描いている。人のからだにもたくさんの微生物が存在していて、社会では多くの微生物が働き、生活を豊かにしている。世界は複雑なシステムであり、色々なものの均衡・バランスの上で成り立っているんだと感じる作品。
▼『もやしもん』これも学習マンガだ!紹介ページ

●『はじめアルゴリズム』(三原和人/講談社)

数学の天才児のハジメが主人公。僕は受験数学が苦手だったが、算数や数学が得意な人から見た世界はこんなふうに見えるのかと気づきのある作品。課題解決に役立つから、ビジネスになるからという利便性のために数学を使うのではなく、数学を通して世界を見て、その美しさに感動できるというのが、自分には全くない世界観だった。数学をはじめとする科学研究者の考え方を垣間見ることで、世界の見え方が変わった。
▼『はじめアルゴリズム』これも学習マンガだ!紹介ページ

●『ブラックジャックによろしく』(佐藤秀峰)

日本の大学病院や医療現場の現状を描いた作品で、医療現場がかかえる問題について学ぶことができる。そして医療現場に限った話ではなく、人間社会の複雑さ、醜さ、難しさなど人間の世界は簡単にはいかないということが描かれている。教科書に書かれた理論のようにはうまくいかない、美しくない社会の中で、感情的に割り切れないことも抱えながらそれでも人は生きていくという現実に惹かれ、思わず一気読みしてしまう作品。
▼『ブラックジャックによろしく』これも学習マンガだ!紹介ページ

●『アイとアイザワ』(かっぴー、うめ/ナンバーナイン)

視界に入る情報を瞬時に記憶する能力を持つ女子高生のアイが、人工知能アイザワに恋に落ちる。人工知能と人間の特殊な才能のせめぎあいや、人間を情報のかたまりとして捉えたときに生・や死とはどう捉えられるかといったことなどいろいろなテーマが折り込まれている。細かい設定や描写なども含めて、語りたいポイントがたくさんある作品。スピード感があって、ハラハラするストーリー展開。

●『銀河の死なない子供達へ』(施川ユウキ/KADOKAWA)

死、時間、宇宙って何だろうと、子供の頃に考えて眠れなくなった感覚を思い出させられる作品。不老不死の姉弟と、成長し老いて死んでいく周りの生物などがやりとりする無限の時間の世界に没入しながら、生老病死できることの意味や、その豊かさ、登場人物たちの選択に感情が揺さぶられた。コロナウイルスに感染するリスクがすぐ近くにある日常の中、生きるとはどういうことなのかを改めて考えさせられた。
▼『銀河の死なない子供達へ』これも学習マンガだ!紹介ページ

 


「人類と社会を悩むマンガ」とは? HITE-Media×これも学習マンガだ! トークイベントレポート(HITE-Media)
https://hite-media.jp/journal/478/