©Hiromu Arakawa/SQUARE ENIX
命、血と肉、戦う意味
錬金術師の兄弟が大切なもののために戦うダーク・ファンタジー
自らの過ちで大切なものを失ってしまった錬金術師の兄弟が、それを取り返そうとする過程で、背後に渦巻く大きな陰謀と戦っていく物語。「錬金術」や「賢者の石」をはじめ、ワクワクさせてくれるキーワードがぎっしり詰まったぜいたくなファンタジーでありながら、描かれていることが嘘に見えないのが、この作品の大きな特徴だ。殴られれば痛い、切られれば血が出る。そんな生々しさが、作中通して漂っている。それは、酪農家に生まれ育ち、幼い頃から「命」を間近で見つめ続けてきた作者の出自によるものなのかもしれない。そう、ここに描かれているのは単純なバトル・ファンタジーではなく、「生と死」であり、「命の本質」なのだ。直視するのがつらくなるような残酷なシーンやショッキングな展開も少なくないが、そう思わせられるのも、登場人物のひとりひとりにしっかりと血が通っているから。実在の戦士による自叙伝のような、圧倒的な説得力を持つ作品。
推薦コメント
自らの過ちで大切なものを失ってしまった錬金術師の兄弟が、それを取り返そうとする過程で、背後に渦巻く大きな陰謀と戦っていく物語。「錬金術」や「賢者の石」をはじめ、ワクワクさせてくれるキーワードがぎっしり詰まったぜいたくなファンタジーでありながら、描かれていることが嘘に見えないのが、この作品の大きな特徴だ。殴られれば痛い、切られれば血が出る。そんな生々しさが、作中通して漂っている。それは、酪農家に生まれ育ち、幼い頃から「命」を間近で見つめ続けてきた作者の出自によるものなのかもしれない。そう、ここに描かれているのは単純なバトル・ファンタジーではなく、「生と死」であり、「命の本質」なのだ。直視するのがつらくなるような残酷なシーンやショッキングな展開も少なくないが、そう思わせられるのも、登場人物のひとりひとりにしっかりと血が通っているから。実在の戦士による自叙伝のような、圧倒的な説得力を持つ作品。
ヤマダ トモコ(マンガ研究者 / 米沢嘉博記念図書館)