生とは、死とは。永遠とは、一瞬とは。
人類が滅んだ未来で、無限の時間を生きる子どもたちを描く
人類が滅んだ未来で無限の時間を生きる子どもたち。ラップ好きの無邪気な姉と、読書好きの内向的な弟。そして同じく不老不死のママ。姉は自然、弟は文明、ママは神を表しているようだ。「1万年前、私はこの未来を見ている」「1万年後も私はきっと同じ星空を見ている」という冒頭から、悠久の時間が描写される。時間が無限にあるということは、何でもいくらでも探求できて、どこへ行っても戻ってこられる。死ぬという究極の恐怖から免れている。それだけに、身近な命が失われることが唯一の危機となる。ペットの生は彼らから見れば一瞬で、しかしその死は愛の欠如となってずしんと永遠に残る。空からやってきた人間の子を育て、やがて死ぬ。不老不死を拒否して死ぬ。それを機に姉は人間となることを求めて、つまり死を求めて、ドキドキワクワクと旅立つ。生とは、死とは。永遠とは、一瞬とは。ユルい絵柄のキャラゆえに、入り込みやすく、深く考えさせられる。
推薦コメント
人類が滅んだ未来で無限の時間を生きる子どもたち。ラップ好きの無邪気な姉と、読書好きの内向的な弟。そして同じく不老不死のママ。姉は自然、弟は文明、ママは神を表しているようだ。「1万年前、私はこの未来を見ている」「1万年後も私はきっと同じ星空を見ている」という冒頭から、悠久の時間が描写される。時間が無限にあるということは、何でもいくらでも探求できて、どこへ行っても戻ってこられる。死ぬという究極の恐怖から免れている。それだけに、身近な命が失われることが唯一の危機となる。ペットの生は彼らから見れば一瞬で、しかしその死は愛の欠如となってずしんと永遠に残る。空からやってきた人間の子を育て、やがて死ぬ。不老不死を拒否して死ぬ。それを機に姉は人間となることを求めて、つまり死を求めて、ドキドキワクワクと旅立つ。生とは、死とは。永遠とは、一瞬とは。ユルい絵柄のキャラゆえに、入り込みやすく、深く考えさせられる。
中村 伊知哉(iU学長)