Ⓒ 林静一 / 小学館
今につながる昭和的美学
出口が見えない情況の中でせつない同棲生活を続ける二人
赤色はせきしょくと読みます。1970 年に「ガロ」という雑誌に発表された恋愛マンガです。主人公は幸子(さちこ)と一郎。二人はアニメ業界の底辺で仕事をしています。小さなアパートの一室でいっしょに暮らしていますが、お金も将来の展望もありません。一郎は漫画家になりたいのですが道は開けません。幸子は親に普通の結婚を迫られています。とくべつな事件はなく、傷つけ合ったり、仲直りしたり‥‥出口が見えない情況の中で二人のせつない生活が続きます。このマンガに惚れ込んだあがた森男が同名の唄を作り大ヒットしました。当時の大学生には幸子と一郎の世界に憧れて同棲するカップルもあったそうです。動物の中で、ヒトだけは求愛に学習が必要だといいます。文学、音楽、演劇、映画、ドラマ、そしてもちろんマンガにも、このテーマがとても多いのはそのせいかもしれません。昭和の恋愛も今につながります。
推薦コメント
赤色はせきしょくと読みます。1970 年に「ガロ」という雑誌に発表された恋愛マンガです。主人公は幸子(さちこ)と一郎。二人はアニメ業界の底辺で仕事をしています。小さなアパートの一室でいっしょに暮らしていますが、お金も将来の展望もありません。一郎は漫画家になりたいのですが道は開けません。幸子は親に普通の結婚を迫られています。とくべつな事件はなく、傷つけ合ったり、仲直りしたり‥‥出口が見えない情況の中で二人のせつない生活が続きます。このマンガに惚れ込んだあがた森男が同名の唄を作り大ヒットしました。当時の大学生には幸子と一郎の世界に憧れて同棲するカップルもあったそうです。動物の中で、ヒトだけは求愛に学習が必要だといいます。文学、音楽、演劇、映画、ドラマ、そしてもちろんマンガにも、このテーマがとても多いのはそのせいかもしれません。昭和の恋愛も今につながります。
由利 耕一(元マンガ編集者)