伝統の踊りが運ぶ、人の思い
「おわら風の盆」を受け継ぐ若者たちの、静かで熱い心のドラマ
越中富山の八尾地区で毎年9月初めに行われる「おわら風の盆」。もの悲しい胡弓の調べと三味線、笠で顔を隠して踊られる男踊り・女踊り……。ロマンチックなイメージで知られる、おそらく日本で一番有名な祭りの一つである。主人公は東京から八尾に転校してきた蛍子。亡くなった母はこの町の出身でおわらの名手だった。亡き母から踊りを受け継ぎ、母のかつての恋人だった男性に特別な思いを抱く蛍子。その男性の甥で同級生の光。複雑な若い二人の関係を織り交ぜながら、やがて町は、おわらの稽古一色に染まっていく。古くからの文化が息づく地方都市を舞台に描かれるのは、伝統や思いは、引き継がれるとともに新しい世代の中でまた変わっていくということ。最後の「おわら風の盆」のシーンは圧巻。この作品をきっかけに、自分の住む地域と文化を見直してみてほしい。
推薦コメント
越中富山の八尾地区で毎年9月初めに行われる「おわら風の盆」。もの悲しい胡弓の調べと三味線、笠で顔を隠して踊られる男踊り・女踊り……。ロマンチックなイメージで知られる、おそらく日本で一番有名な祭りの一つである。主人公は東京から八尾に転校してきた蛍子。亡くなった母はこの町の出身でおわらの名手だった。亡き母から踊りを受け継ぎ、母のかつての恋人だった男性に特別な思いを抱く蛍子。その男性の甥で同級生の光。複雑な若い二人の関係を織り交ぜながら、やがて町は、おわらの稽古一色に染まっていく。古くからの文化が息づく地方都市を舞台に描かれるのは、伝統や思いは、引き継がれるとともに新しい世代の中でまた変わっていくということ。最後の「おわら風の盆」のシーンは圧巻。この作品をきっかけに、自分の住む地域と文化を見直してみてほしい。
藤本 由香里(明治大学 国際日本学部教授)