©辰巳ヨシヒロ/講談社
「劇画」の名付け親のマンガ道
「青年マンガ」誕生のいきさつを振り返る自伝的作品
「劇画」の名付け親とされる辰巳ヨシヒロの自伝的マンガです。大阪生まれのマンガ好き少年が手塚治虫のストーリーマンガに憧れ、「『漫画馬鹿』」そのままに、ただマンガの世界で生きてきた」半生を、敗戦直後から60年安保までの戦後風俗史に沿って丁寧に描きます。昭和30年代、最盛期には全国で3万軒と言われた貸本屋で読まれた貸本マンガ雑誌「影」「街」などで活躍する関西の若い漫画家たち(辰巳を始め、松本正彦、さいとう・たかを、佐藤まさあきなど)は映画や小説の手法をマンガに取り入れながら、東京の出版社が作る子供漫画とは一線を画した青年向きマンガを追求します。「子供マンガと貸本マンガを分ける意味でつけた」のが「劇画」と辰巳は言います。この作品は手探りで新しい表現を模索する主人公と仲間たちの青春群像であるとともに、マンガ表現の幅と奥行きを大きく広げた劇画の黎明期にまつわる貴重な史料です。トキワ荘を描く「まんが道」(藤子不二雄A)と併せて読まれることを強くおすすめします。
推薦コメント
「劇画」の名付け親とされる辰巳ヨシヒロの自伝的マンガです。大阪生まれのマンガ好き少年が手塚治虫のストーリーマンガに憧れ、「『漫画馬鹿』」そのままに、ただマンガの世界で生きてきた」半生を、敗戦直後から60年安保までの戦後風俗史に沿って丁寧に描きます。昭和30年代、最盛期には全国で3万軒と言われた貸本屋で読まれた貸本マンガ雑誌「影」「街」などで活躍する関西の若い漫画家たち(辰巳を始め、松本正彦、さいとう・たかを、佐藤まさあきなど)は映画や小説の手法をマンガに取り入れながら、東京の出版社が作る子供漫画とは一線を画した青年向きマンガを追求します。「子供マンガと貸本マンガを分ける意味でつけた」のが「劇画」と辰巳は言います。この作品は手探りで新しい表現を模索する主人公と仲間たちの青春群像であるとともに、マンガ表現の幅と奥行きを大きく広げた劇画の黎明期にまつわる貴重な史料です。トキワ荘を描く「まんが道」(藤子不二雄A)と併せて読まれることを強くおすすめします。
由利 耕一(元マンガ編集者)