Ⓒ ささやななえ・椎名篤子 / 集英社コミック文庫
目を背けてはいけない現実
児童虐待をストレートに描いた社会派ドキュメンタリー
児童虐待という重いテーマを、ストレートに描いたドキュメンタリー漫画。正直言って、目を背けたくなるような作品であるが、また同時に目を背けてはいけない現実でもある。 親の虐待によって子どもが親を頼れずに次第に表情を失っていくことを「凍りついた凝視」という。しかし、その凍りついた瞳の奥には「本当は愛してほしかった」という心の叫びがかくされている。親に心身を傷付けられ施設で育った子どもが、それでも次こそお母さんはきっとやさしく抱きしめてくれると期待しながら再会し、そしてまた傷つく。 一話ごとに絶望をつきつけられる。同時に、親子の愛情のほつれ、難しさ、もどかしさに、どこか他人事ではない、普遍的なメッセージが込められているようにも思える。 児童虐待の相談件数は毎年増加し、2015 年度には初めて 10 万件を超え深刻な社会問題となっている。日本でこの問題があまり注目されていなかった時代に、いちはやく社会に問題提起した社会派作品。
推薦コメント
児童虐待という重いテーマを、ストレートに描いたドキュメンタリー漫画。正直言って、目を背けたくなるような作品であるが、また同時に目を背けてはいけない現実でもある。 親の虐待によって子どもが親を頼れずに次第に表情を失っていくことを「凍りついた凝視」という。しかし、その凍りついた瞳の奥には「本当は愛してほしかった」という心の叫びがかくされている。親に心身を傷付けられ施設で育った子どもが、それでも次こそお母さんはきっとやさしく抱きしめてくれると期待しながら再会し、そしてまた傷つく。 一話ごとに絶望をつきつけられる。同時に、親子の愛情のほつれ、難しさ、もどかしさに、どこか他人事ではない、普遍的なメッセージが込められているようにも思える。 児童虐待の相談件数は毎年増加し、2015 年度には初めて 10 万件を超え深刻な社会問題となっている。日本でこの問題があまり注目されていなかった時代に、いちはやく社会に問題提起した社会派作品。
本山 勝寛( 作家 / 日本財団 子どもの貧困対策チーム チームリーダー)