マンガで知るイスラム社会と文化
イラン革命を経験した少女マルジの自伝的作品
この作品は、イランで生まれ育ち、世俗的・親米的な王政からイスラム国家への転換である「イラン革命」を経験した少女マルジ(=作者)の自伝的作品です。王政につながる彼女の親戚には投獄された人も複数いて、知人が捕まって処刑された話も出てきます。日本の感覚からするとびっくりするような話も多いのですが、西側の国に渡航を許された母親が帰りに、マルジが大ファンのロックグループのポスターをコートの裏地の下に縫い込んで隠して持ってきてくれるなど、意外とたくましいエピソードも。イスラム文化の中でも自分を譲らないマルジは結局、ヨーロッパに亡命し、フランスでマンガ家になります。評判になったこの作品は、カトリーヌ・ドヌーブとその娘を声優としたアニメ映画にもなっています。イスラムの社会と文化への足掛かりにもなり、また、同じモノクロでも日本のマンガとは違うタッチも、「外国のマンガ」という異文化への扉を開いてくれるでしょう。
推薦コメント
この作品は、イランで生まれ育ち、世俗的・親米的な王政からイスラム国家への転換である「イラン革命」を経験した少女マルジ(=作者)の自伝的作品です。王政につながる彼女の親戚には投獄された人も複数いて、知人が捕まって処刑された話も出てきます。日本の感覚からするとびっくりするような話も多いのですが、西側の国に渡航を許された母親が帰りに、マルジが大ファンのロックグループのポスターをコートの裏地の下に縫い込んで隠して持ってきてくれるなど、意外とたくましいエピソードも。イスラム文化の中でも自分を譲らないマルジは結局、ヨーロッパに亡命し、フランスでマンガ家になります。評判になったこの作品は、カトリーヌ・ドヌーブとその娘を声優としたアニメ映画にもなっています。イスラムの社会と文化への足掛かりにもなり、また、同じモノクロでも日本のマンガとは違うタッチも、「外国のマンガ」という異文化への扉を開いてくれるでしょう。
藤本 由香里(明治大学 国際日本学部教授)