株式会社 彩流社
カラーから匂い立つアルジェの光と空気
物語の舞台を知り尽くした作者だからこそ描けた『異邦人』
アルベール・カミュの『異邦人』と言えば、フランス文学どころか世界文学の古典。本書はその人口に膾炙(かいしゃ)した『異邦人』を、物語の舞台であるアルジェリアのアルジェ出身のジャック・フェランデズがマンガ化したもの。本書を開いてまず驚くのは、いかにも地中海沿岸のアフリカ的な光溢れる風景。物語の舞台はアルジェなので当然といえば当然なのだが、フランスの古典としてよく知られた作品だけに、読者のほうで勝手にフランス的な風景に置き換えてしまうということが起こりがちである。文字だけの小説と絵のあるマンガが読者の心に呼び起こすイメージがまるで異なることは、言うまでもない。もし『異邦人』をマンガ化した日本のマンガがあるとすれば、それとこのオールカラーのバンド・デシネ版もまるで異なるはず。『異邦人』の舞台を知り尽くした作者は、はたしてこの物語をどのようなマンガに仕上げたのか。異文化に興味がある人にはぜひ読んでほしい作品。
推薦コメント
アルベール・カミュの『異邦人』と言えば、フランス文学どころか世界文学の古典。本書はその人口に膾炙(かいしゃ)した『異邦人』を、物語の舞台であるアルジェリアのアルジェ出身のジャック・フェランデズがマンガ化したもの。本書を開いてまず驚くのは、いかにも地中海沿岸のアフリカ的な光溢れる風景。物語の舞台はアルジェなので当然といえば当然なのだが、フランスの古典としてよく知られた作品だけに、読者のほうで勝手にフランス的な風景に置き換えてしまうということが起こりがちである。文字だけの小説と絵のあるマンガが読者の心に呼び起こすイメージがまるで異なることは、言うまでもない。もし『異邦人』をマンガ化した日本のマンガがあるとすれば、それとこのオールカラーのバンド・デシネ版もまるで異なるはず。『異邦人』の舞台を知り尽くした作者は、はたしてこの物語をどのようなマンガに仕上げたのか。異文化に興味がある人にはぜひ読んでほしい作品。
原 正人(翻訳家)