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イティハーサ

ハヤカワ文庫刊

イティハーサ いてぃはーさ

小学生からOK
著者
水樹 和佳子
出版社
早川書房
発刊状況
完結

「存在とは?」を語る異色作

神話以前の超古代の魂たちの揺らぎを描く“哲学マンガ”

推薦コメント

作中にこんなシーンがある。富士山とおぼしき山の麓の森でも会話。霧が深く迷うのではないかと戸惑う鷹野に香夜が言う。「迷う為の森です。そして迷いから抜け出る為の森です。」確かに…。迷わなければ迷いから抜け出る必要も無いし、抜け出ようとも思わない。人は考えるからこそ答えを求めたくなる。求めなければそもそも考える必要もない。第一、考える事の意味にすら気づかないかも知れない。神話以前の超古代の魂たちの揺らぎを描く「イティハーサ」は「哲学マンガ」と言える。作者の、丁寧で静かな画面作りによって、全編に静かで透き通った弦の音色が流れているかのようだ。戦い、疑い、愛、信念、挫折、哀しみ… 「目に見える神々」と「目に見える神を信じる人々」との戦いをとおして、「存在とは?」を語る異色の作品だ。一度目は「戦いの物語」として、二度目は「愛の哀しみ」を、三度目は「自分に問いかける大いなる声」を味わって、読み返して欲しい。

里中 満智子(マンガ家 / マンガジャパン代表)

  • 発刊状況は2020年10月1日時点のものとなります。

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