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1文学

とりかえ・ばや とりかえ・ばや
小学生から OK
- 著者
- さいとう ちほ
- 出版社
- 小学館
- 発刊状況
- 完結
華麗でアナーキーな平安絵巻!
男は女に、女は男に。「性別入れ替えもの」の原型です
- ※発刊状況は 2020 年 10 月 1 日時点のものとなります。
- ※小学生から OK はあくまで委員会の判断による目安となります。
推薦コメント
関白左大臣の異なる妻に相次いで生まれた二人の子は、女君は元気で男っぽく、男君は引っ込み思案で女の子っぽい。しかし二人の顔はそっくり。二人が成人を迎えるにあたり、「ええい、二人を取り替えてしまえ!」。かくして女の子は公達として、男の子は姫君として成人することに!百年近く前に書かれた、「性別入れ替えもの」の原型ともいえる作品で、古典の授業で習った人もいるんじゃないかな。実際に読むと、単なる性別入れ替えにとどまらない、かなりぶっとんだ展開にびっくり。でも実は、さいとうちほさんのこの作品が、他のマンガ化作品よりいちばん原作に忠実なんです。きちんと時代考証された絢爛豪華な絵が、あなたを平安絵巻そのものの世界に、そして物語の奥深くに誘(いざな)ってくれます。と同時に、平安時代の物語のアナーキーさにびっくりすることでしょう。
藤本 由香里(明治大学 国際日本学部教授)
藤本 由香里
Yukari Fujimoto
明治大学 国際日本学部教授
専門は「漫画文化論」「ジェンダーと表象」など。2007 年まで筑摩書房で編集者として働くかたわら、コミック・セクシュアリティなどを中心に評論活動を行う。2008 年より明治大学へ。講談社漫画賞・手塚治虫文化賞・メディア芸術祭マンガ部門等の選考委員を歴任。最近ではとくに、マンガの国際比較や海外市場調査などを行っている。著書に『私の居場所はどこにあるの?』(朝日文庫)、『快楽電流』(河出書房新社)『少女まんが魂』(白泉社)、『愛情評論』(文藝春秋)など。近著に『きわきわ』(亜紀書房)がある。