あなたは無神経な発言をしていませんか?
様々なセクシュアリティの人物との交流を描く
ここ数年、LGBTが話題となり、さまざまな作品が描かれる中でも、ダントツでおすすめなのがこの作品。自分がゲイであることが周囲にバレることを怖れ、自殺しかけた男子高校生が「誰かさん」と出会い、尾道の空き家再生事業にかかわっていく。そこに集うのはレズビアンのカップル、年配のゲイのカップル、FtMのトランス男性、女装する小学6年生、そして「誰かさん」はアセクシュアル(無性愛者)。セクシュアリティの問題が一筋ではいかないことが、機微にとんだ複雑なストーリーラインで丁寧に描かれる。なかでも白眉なのが、自分では理解ある善意の第三者のつもりで、無遠慮で無神経な発言を繰り返す女性の描写である。このエピソードを大学の講義で紹介すると、教室が水を打ったように静かになる。誰しもが必ずハッとさせられる、そんな作品だ。
推薦コメント
ここ数年、LGBTが話題となり、さまざまな作品が描かれる中でも、ダントツでおすすめなのがこの作品。自分がゲイであることが周囲にバレることを怖れ、自殺しかけた男子高校生が「誰かさん」と出会い、尾道の空き家再生事業にかかわっていく。そこに集うのはレズビアンのカップル、年配のゲイのカップル、FtMのトランス男性、女装する小学6年生、そして「誰かさん」はアセクシュアル(無性愛者)。セクシュアリティの問題が一筋ではいかないことが、機微にとんだ複雑なストーリーラインで丁寧に描かれる。なかでも白眉なのが、自分では理解ある善意の第三者のつもりで、無遠慮で無神経な発言を繰り返す女性の描写である。このエピソードを大学の講義で紹介すると、教室が水を打ったように静かになる。誰しもが必ずハッとさせられる、そんな作品だ。
藤本 由香里(明治大学 国際日本学部教授)