角度を変えればガラリと変わる
日常の「当たり前」を覆し、まっすぐに本質を射抜く主人公
第1話となる読み切り作品を読んだ時、驚愕した。こんな作品があるんだ! と思った。間違いなく新しいジャンルを切り拓いた、歴史に残る傑作だ。事件は起こる。しかしその謎解きが主眼ではない。読み進むうちに目からウロコがぽろぽろ落ちる。次々と盛大に落ちる。主人公・整(ととのう)が語るのは、物事を別の側面から見てみること、物事の本質を見極めること。たとえば彼は言う。日本の解説者はメジャーリーガーの監督や選手が子供のイベントを理由に試合を休むと、「奥さんが怖いんでしょうねえ…」という。彼らには、メジャーリーガーが行きたくて行ってることが理解できない。なぜなら自分がそう思ったことがないから。「メジャーリーガーは子供の成長に立ち会うことを父親の権利だと思い、日本側の解説者たちは義務だと思っている。そこには、天と地ほど差があるんですよ」。あるいは、「なぜ人を殺してはいけないのか」に対する整の答とは? 男性にこそ、読んでほしい。
推薦コメント
第1話となる読み切り作品を読んだ時、驚愕した。こんな作品があるんだ! と思った。間違いなく新しいジャンルを切り拓いた、歴史に残る傑作だ。事件は起こる。しかしその謎解きが主眼ではない。読み進むうちに目からウロコがぽろぽろ落ちる。次々と盛大に落ちる。主人公・整(ととのう)が語るのは、物事を別の側面から見てみること、物事の本質を見極めること。たとえば彼は言う。日本の解説者はメジャーリーガーの監督や選手が子供のイベントを理由に試合を休むと、「奥さんが怖いんでしょうねえ…」という。彼らには、メジャーリーガーが行きたくて行ってることが理解できない。なぜなら自分がそう思ったことがないから。「メジャーリーガーは子供の成長に立ち会うことを父親の権利だと思い、日本側の解説者たちは義務だと思っている。そこには、天と地ほど差があるんですよ」。あるいは、「なぜ人を殺してはいけないのか」に対する整の答とは? 男性にこそ、読んでほしい。
藤本 由香里(明治大学 国際日本学部教授)