©村上もとか/小学館
昭和30年代。マンガは、日本は、中国は
『フイチンさん』作者の伝記から当時の世の中を知る
村上もとか氏が「フイチンさん」の生みの親である上田トシコ先生の伝記物(?)作品を描く…と知った時に、私を含む多くの団塊世代の女性読者がどれだけ興奮しワクワクドキドキしたか!それは、もしかしたら男性陣にはわからないかもしれない。 昔は、少年マンガを読む少女は多くいても、少女マンガを読む少年はほとんど存在しなかった。作者の村上もとか氏は昭和26年生まれ。少女クラブでフイチンさんが連載されていたのは村上氏が6歳から9歳までの間だ。その歳で上田トシコの絵の持つ普遍的な巧さに惹かれたとしたら、さすが村上もとか!と言うしかない。 「フイチン再見」は単に上田トシコの伝記ではなく、当時の社会情勢や女性の生き方に迫る作品だ。上田トシコは本作により「伝説」から「ヒロイン」になった。こういう形でマンガの歴史が描き留められることも嬉しい。村上氏にとっても、「龍(RON)」から繋がる日本と中国の関わりをドラマで描く「生涯の構想」の一部かも…と想像するのも楽しい。
推薦コメント
村上もとか氏が「フイチンさん」の生みの親である上田トシコ先生の伝記物(?)作品を描く…と知った時に、私を含む多くの団塊世代の女性読者がどれだけ興奮しワクワクドキドキしたか!それは、もしかしたら男性陣にはわからないかもしれない。 昔は、少年マンガを読む少女は多くいても、少女マンガを読む少年はほとんど存在しなかった。作者の村上もとか氏は昭和26年生まれ。少女クラブでフイチンさんが連載されていたのは村上氏が6歳から9歳までの間だ。その歳で上田トシコの絵の持つ普遍的な巧さに惹かれたとしたら、さすが村上もとか!と言うしかない。 「フイチン再見」は単に上田トシコの伝記ではなく、当時の社会情勢や女性の生き方に迫る作品だ。上田トシコは本作により「伝説」から「ヒロイン」になった。こういう形でマンガの歴史が描き留められることも嬉しい。村上氏にとっても、「龍(RON)」から繋がる日本と中国の関わりをドラマで描く「生涯の構想」の一部かも…と想像するのも楽しい。
里中 満智子(マンガ家 / マンガジャパン代表)