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刑務所の中

刑務所の中 けいむしょのなか

小学生からOK
著者
花輪和一
出版社
講談社
発刊状況
完結

それでもやっぱり腹は減る

実刑判決を受けたマンガ家が描くリアルな「塀の中」

推薦コメント

1994年、マンガ家・花輪和一は銃刀法等の違反容疑で逮捕・起訴され、懲役3年の実刑判決を受けました。モデルガン趣味が高じての不法所持でした。花輪は控訴することなく刑に服し、1997年仮釈放になります。その間の体験をマンガ作品として描き起こしたのが本書です。独房や懲罰房や雑居房の間取り、食事のメニューと作法、トイレの使い方、風呂(2日に一回、15分間)の入り方、布団や衣類のたたみ方、作業場や運動場の構造、職員や同房者との会話、お正月の特別食‥‥花輪の描写は執拗です。絵と文字を持つマンガ表現の強みを生かして、入らなければわからない施設の一級の見聞録に仕立て上げました。特に多いのは食べ物の描写で、「今日は16日、マーガリンつきのこの日のパン食こそまちこがれていた最高のものだ」という具合です。ラストページで作者は服役生活を「陽光・青空・大地・風・泥浴びと一生無縁」な豚小屋の暮らしになぞらえています。中世の怪奇幻想マンガを本領とする花輪にとって「刑務所の中」は氏の想い描く「畜生道」に通じるものだったのかもしれません。

由利 耕一(元マンガ編集者)

  • 発刊状況は2020年10月1日時点のものとなります。

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