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星守る犬

星守る犬 ほしまもるいぬ

小学生からOK
著者
村上たかし
出版社
双葉社
発刊状況
完結

誰もが誰かの、かけがえのない存在

孤独な「おとうさん」に寄り添う犬・ハッピーの物語

推薦コメント

ひと言で言えば、犬と一人の男との切ない絆の物語…。  犬と人間の関係が描かれた創作物は沢山あるが、物語や登場人物の理解に繋げるために、人間の言い分を語る部分に重点がおかれがちだ。しかし、犬の視線で描かれた本作は「犬が理解した状況」で語られるので、男の内面の葛藤などは読者の想像にゆだねられる部分が多い。 男を「お父さん」とよぶハッピーはただひたすらお父さんに寄り添い、無一文になったお父さんが旅の果てに車中で死んでも「お父さん、起きて」と寄り添い、遺体が腐敗してきても「お父さん、くさいですよ」と心配する。ハッピーもお腹が空くが、バーベキューキャンプ場で餌をあさったり、人に追い払われて怪我をしたり…やがて、変わり果てたお父さんの遺体に寄り添って死んでいく。 ごく普通のおじさんと、犬として当たり前の素直さを持った犬とのささやかな物語だ。ハッピーの立場がつらすぎて、犬好きの人にとっては「二度と読みたくない」と思わせるほど切ない。お父さんとハッピーはこれで幸せだった…という甘い感想を拒否する覚悟を感じる結末だ。 でも、おそらく世の多くの人の中にも「不器用でいい加減で気が弱くて、自分の立場を真剣に見つめる恐ろしさから目をそらしている、お父さん」が、いっぱい居るはずだ。生き方、死に方、感じ方、受け止め方、さまざまな見つめ方をじんわりと伝えてくれる作品だ。

里中 満智子(マンガ家 / マンガジャパン代表)

  • 発刊状況は2020年10月1日時点のものとなります。

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