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風と木の詩

風と木の詩 かぜときのうた

著者
竹宮 惠子
出版社
中央公論新社
発刊状況
完結

「性」そのものの本質を描く

愛の結実だけではない、その圧倒的な力に向き合う

推薦コメント

この作品を開いた人は、びっくりするかもしれない。周りに人がいないかどうか確かめて、またそっと本を開いたりするかもしれない。なぜならこれは「性」を正面から扱った作品だからだ。なにせいきなり、少年同士のベッドシーンから始まる。当時は「少年愛」、今でいう「やおい」や「BL」(どちらも男同士の愛を描いた女性向けのマンガや小説)のはしりになった作品だ。だがこの作品はそれを超えて、「性」そのものの本質を描き出そうとする。愛の結実としての「性」ばかりでなく、「性」は否応なく激しい力で人を巻き込み、ときには人を支配・被支配の関係から逃れられなくさせてしまうこともある。そういうことを若い人にちゃんと伝えておきたかった、と作者の竹宮さんは言う。「私にはまだ早い」と思うのなら、ちょっと待った方がいい。でも、「思わずページを閉じたけれど、気になる」のなら、たぶん、あなたにはこの作品を読む準備ができている。

藤本 由香里(明治大学 国際日本学部教授)

  • 発刊状況は2020年10月1日時点のものとなります。

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