Ⓒ 美内すずえ / 白泉社
演じる楽しさ、難しさ
大女優が見出した天才少女が女優として成長する姿を描く
1975 年(1976 年 1 号)から「花とゆめ」(白泉社)で連載を開始した長寿マンガ。演劇をテーマにしているが、当初はバレーボールマンガを構想していたという。コミックスは 2012 年に 49 巻が発刊されているが、50 巻の発売がたびたび延期され、ファンをやきもきさせている。作者によるとすでに物語は八合目まで来ているそうで、20 年ほど前からラストの構想は決まっているという。舞台「紅天女」の主役を演じて大女優とうたわれた月影千草が見いだした天才少女、北島マヤが女優として成長する姿を描いている。憑(つ)かれたように役を演じるマヤの鬼気迫る演技の描写、月影先生や速水真澄(紫のバラの人)など濃いキャラクターたち、衝撃を受けると白目になる独特の表現など、この作品のエポックメーキングな点を挙げると枚挙にいとまがない。だが、展開は王道の少女マンガで、これを読んで俳優を目指す人がいるほどの強い影響力と、続きが読みたいと切望するほどの物語への求心力がある。演劇界の仕組みを知り、演技する楽しさ、難しさをマンガで感じられる稀有(けう)な作品だ。
推薦コメント
1975 年(1976 年 1 号)から「花とゆめ」(白泉社)で連載を開始した長寿マンガ。演劇をテーマにしているが、当初はバレーボールマンガを構想していたという。コミックスは 2012 年に 49 巻が発刊されているが、50 巻の発売がたびたび延期され、ファンをやきもきさせている。作者によるとすでに物語は八合目まで来ているそうで、20 年ほど前からラストの構想は決まっているという。舞台「紅天女」の主役を演じて大女優とうたわれた月影千草が見いだした天才少女、北島マヤが女優として成長する姿を描いている。憑(つ)かれたように役を演じるマヤの鬼気迫る演技の描写、月影先生や速水真澄(紫のバラの人)など濃いキャラクターたち、衝撃を受けると白目になる独特の表現など、この作品のエポックメーキングな点を挙げると枚挙にいとまがない。だが、展開は王道の少女マンガで、これを読んで俳優を目指す人がいるほどの強い影響力と、続きが読みたいと切望するほどの物語への求心力がある。演劇界の仕組みを知り、演技する楽しさ、難しさをマンガで感じられる稀有(けう)な作品だ。
細田 尚子(株式会社 MANTAN 元総編集長)