©藤子プロ・小学館
「常識」って何?誰が決めるもの?
発見とワクワクに富んだ、珠玉の短編作品群
宇宙船の故障で主人公が偶然たどり着いたのは、牛の姿をした生き物が生態系の頂点に立ち、人間の姿をした生き物が家畜として飼育されている星。そこでは牛が人を食べるのが当たり前で、それを「非常識だ」と訴える主人公こそが異端である。私たちは「常識」や「ルール」を絶対的な普遍性を持つものであるかのように思い込んでしまいがちだが、価値観は時代やそれぞれの立場によって異なるもの。決められたことに対して「それっておかしくない?」「こんなふうにも考えられるんじゃない?」と、根本的な問いを抱くことを忘れてはいけないのだということを教えてくれる、価値観が多様化した現代において非常に示唆に富んだ一編だ。藤子・F・不二雄といえば児童マンガの大家であり、誰もが子供の頃に、『ドラえもん』などの作品を通じて、未知の物事にワクワクする感覚に触れた経験があるはず。本作をはじめとする彼の異色短編作品は、大人になるにつれて忘れてしまう、知的好奇心を満たすことの喜びを思い出させてくれる。
推薦コメント
宇宙船の故障で主人公が偶然たどり着いたのは、牛の姿をした生き物が生態系の頂点に立ち、人間の姿をした生き物が家畜として飼育されている星。そこでは牛が人を食べるのが当たり前で、それを「非常識だ」と訴える主人公こそが異端である。私たちは「常識」や「ルール」を絶対的な普遍性を持つものであるかのように思い込んでしまいがちだが、価値観は時代やそれぞれの立場によって異なるもの。決められたことに対して「それっておかしくない?」「こんなふうにも考えられるんじゃない?」と、根本的な問いを抱くことを忘れてはいけないのだということを教えてくれる、価値観が多様化した現代において非常に示唆に富んだ一編だ。藤子・F・不二雄といえば児童マンガの大家であり、誰もが子供の頃に、『ドラえもん』などの作品を通じて、未知の物事にワクワクする感覚に触れた経験があるはず。本作をはじめとする彼の異色短編作品は、大人になるにつれて忘れてしまう、知的好奇心を満たすことの喜びを思い出させてくれる。
山内 康裕(一般社団法人マンガナイト/レインボーバード合同会社 代表)