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男おいどん

©松本零士/講談社

男おいどん おとこおいどん

小学生からOK
著者
松本零士
出版社
講談社
発刊状況
完結

四畳半、風呂はないけど夢はある

1970年代、四畳半の下宿。「何もない」青年の悲哀と笑い

推薦コメント

金ない・モテない・することない、ないない尽くしの九州男児、大山昇太(おおやまのぼった)のビンボー青春を描くペーソスギャグ。1970年代に「週刊少年マガジン」に連載されました。青雲の志を抱いて上京した主人公「おいどん」の住まいは下宿館の四畳半(トイレ、水道は共有。フロなし)。押入れの中はカビとシメリケとインキンタムシ菌にまみれた64枚のシマシマパンツ。パンツにはサルマタケ(キノコ)が繁殖し、おいどんは「サルマタケ栽培法と栄養分析」を研究しますが、食には適さない模様です。明日のために今日も寝て、今日のために明日も寝ながら、下宿館に住む美少女たちに失恋を繰り返し、下宿のおばさんの情けを受け、ラーメンライスで生き延びるおいどんの姿は、読者の思わぬ共感を得ました。作者同様、おいどんの悪戦苦闘の青春に自分を投影し、いつか大物にという不屈の闘志にはげまされたのです。松本零士が「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」で「大山を昇る」以前に描いた、印象深い出世作です。

由利 耕一(元マンガ編集者)

  • 発刊状況は2020年10月1日時点のものとなります。

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