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健康で文化的な最低限度の生活

健康で文化的な最低限度の生活 けんこうでぶんかてきなさいていげんどのせいかつ

著者
柏木 ハルコ
出版社
小学館
発刊状況
未完

約219万人。“生活保護”は他人事?

同情と制度の間で葛藤する新人ケースワーカーの奮闘

推薦コメント

「生活保護」という言葉をニュースで見聞きすることが増えた。突然の失業や病気、離婚などで働けなくなった人々に、政府が最低限の生活費を支給する制度だ。その理念となっている日本国憲法25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という条文は、学校の社会科の時間でも習う。とはいえ、他人事のようにも思えるし、具体的に何であるのかはよく分からない。本作品は、まさにこの憲法25条をタイトルとし、生活保護という難題を題材にした意欲的なマンガだ。公務員として区役所生活課に配属された、ちょっと頼りない新人職員が、生活保護の現場で悪戦苦闘するストーリーだ。失業と貧困による自殺、倒産による借金生活、DVで離婚し親の介護も抱えるシングルマザー。驚きと戸惑い、共感と義務感、同情と制度の間の葛藤を抱えながら、一人ひとりの事情と生活を見つめていく。 現在、日本では約219万人の人々が生活保護を受けている。それに、自分の家庭でもいつ失業や病気、離婚といった問題に直面するか分からない。決して他人事ではない問題なのだ。重要だけど、触れにくく難しい問題。それを学校の授業やニュースのように重苦しくなく、マンガという表現によって分かりやすく、興味がもてるように楽しく描かれている。生活保護や貧困という社会課題に関心を持ち、ケースワーカーや公務員の仕事も学ぶことのできる、ある種の新しいカタチの学習マンガだ。

本山 勝寛( 作家 / 日本財団 子どもの貧困対策チーム チームリーダー)

  • 発刊状況は2020年10月1日時点のものとなります。

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