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8生活

ミステリと言う勿れ みすてりというなかれ
小学生から OK
- 著者
- 田村由美
- 出版社
- 小学館
- 発刊状況
- 未完
角度を変えればガラリと変わる
日常の「当たり前」を覆し、まっすぐに本質を射抜く主人公
- ※発刊状況は 2020 年 10 月 1 日時点のものとなります。
- ※小学生から OK はあくまで委員会の判断による目安となります。
推薦コメント
第1話となる読み切り作品を読んだ時、驚愕した。こんな作品があるんだ! と思った。間違いなく新しいジャンルを切り拓いた、歴史に残る傑作だ。事件は起こる。しかしその謎解きが主眼ではない。読み進むうちに目からウロコがぽろぽろ落ちる。次々と盛大に落ちる。主人公・整(ととのう)が語るのは、物事を別の側面から見てみること、物事の本質を見極めること。たとえば彼は言う。日本の解説者はメジャーリーガーの監督や選手が子供のイベントを理由に試合を休むと、「奥さんが怖いんでしょうねえ…」という。彼らには、メジャーリーガーが行きたくて行ってることが理解できない。なぜなら自分がそう思ったことがないから。「メジャーリーガーは子供の成長に立ち会うことを父親の権利だと思い、日本側の解説者たちは義務だと思っている。そこには、天と地ほど差があるんですよ」。あるいは、「なぜ人を殺してはいけないのか」に対する整の答とは? 男性にこそ、読んでほしい。
藤本 由香里(明治大学 国際日本学部教授)
藤本 由香里
Yukari Fujimoto
明治大学 国際日本学部教授
専門は「漫画文化論」「ジェンダーと表象」など。2007 年まで筑摩書房で編集者として働くかたわら、コミック・セクシュアリティなどを中心に評論活動を行う。2008 年より明治大学へ。講談社漫画賞・手塚治虫文化賞・メディア芸術祭マンガ部門等の選考委員を歴任。最近ではとくに、マンガの国際比較や海外市場調査などを行っている。著書に『私の居場所はどこにあるの?』(朝日文庫)、『快楽電流』(河出書房新社)『少女まんが魂』(白泉社)、『愛情評論』(文藝春秋)など。近著に『きわきわ』(亜紀書房)がある。