ブラックジャックによろしく ぶらっくじゃっくによろしく

医者といえば、古今東西、最も尊敬され、あこがれる職業の一つ。医者をテーマにしたマンガやドラマは数多くあるが、本作ほど圧倒的なリアリティで医師とはなにか、医療とはなにか、命とはなにかを問いかけてくる作品はないだろう。主人公は研修医。いい医者になりたいという情熱に燃えながらも、医療現場の現実や制度の矛盾、負の側面に幾度となく直面する。目の前の患者の命を必死に助けること。あるいは、何をやっても死を迎える患者と寄り添うこと。社会から見捨てられた人の心の世界を見つめ、対話すること。生と死に向き合うという、答えのない世界に体当たりでぶつかる主人公の葛藤を通して、読者にも問いかけている気がする。「あなただったらどう生きますか？」と。医療の世界が学べる最高峰の学習マンガ。そして、働くこととは何かを問う職業マンガであり、人間について考えさせられる哲学書でもある。